保育料は「所得」に応じて決まる。
子供が生まれると、色々な支出が増えて家計を圧迫してきます。
その最たる例が「保育料」です。
3歳児クラス以降は、保育無償化によって無料になっていますが、0~2歳児クラスは、少なくない金額を負担することになります。(我が家は4万5000円からスタート。高い…。)
実はこの保育料、金額は世帯によって一律ではなく、その世帯の「市町村民税の所得割」の税額、つまり、「所得」(課税所得)の金額によって決定されます。
◯参考(仙台市)(「利用者負担額(保育料)等」を参照 。記事執筆時は「令和元年度」)

表をみると「C1」から「C16」の16階層に区分を分けて保育料が決定されています。
要は、「所得」の高い世帯からは保育料を多く、「所得」の少ない世帯からは保育料を少なく取るというルールなんですね。
「課税所得」をコントロールして保育料を下げる。
次の表は、仙台市の保育料の決定するための表の抜粋です。
(※ 世帯で考えるので、 市町村民税の所得割額は夫婦の合算で決定されます。)
階層認定 | 市町村民税の所得割 | 利用者負担額 (月額) |
C9 | 169,000円未満 | 44,500 円 |
C10 | 221,000円未満 | 49,900 円 |
C11 | 301,000円未満 | 55,400 円 |
C12 | 397,000円未満 | 59,200 円 |
C13 | 457,000円未満 | 62,400 円 |
(仙台市の令和元年度「利用者負担額等」から抜粋。利用者負担額は「標準時間」)
ところで、この表をよく見ると、階層間の金額の差がけっこう大きいなと思いませんか?
(C9-C10間は5,400円、C10-C11間は5,500円、C11-C12間は3,800円、C12-C13間は3,200円)
仮に、階層間の違いが月額5,000円だとすると、
5,000円×12ヶ月=60,000円 これだけ違いが出るんです!
だから、できるだけ低い階層に行くことができれば、保育料を節約できます。
具体的にどうやって「課税所得」を下げるのか。
市町村民税の所得割は、どの自治体も課税の基礎となる所得(課税所得)に6%を掛けた金額となっています。つまり、「課税所得」を下げることができれば、市町村民税の所得割の税額も下がります。
(※政令指定都市の税率は実際には8%ですが、保育料の決定に当たっては6%が使用されます。住民税は「市県民税」と「都道府県民税」で構成され、その合計は10%とされているので、この比率が政令市が違うということです。政令市だけ税金が高いというわけではないので、お間違えなく。)
【例】50,000万円の「課税所得」が下がる → 3,000円の市町村民税の所得割の額が減少)
では、どうやって「課税所得」を下げるのか?その鍵は、
idecoと明治安田生命「じぶんの積立」です。
idecoの活用
idecoとは、要は自分で運用する個人年金のことで、自分で投資信託を買って老後資金に備えるという制度ですね。(詳しい解説は、かずたくさんのブログがとても分かりやすいです。)

ここで重要なのは、idecoは掛金が「全額所得控除になる」という点です。(小規模企業共済等掛金控除)
idecoの掛金は、会社員の場合は企業年金の有無によって上限が違います。
企業年金の有無 | ideco掛金上限(月額) |
会社が企業年金に未加入 | 23,000円 |
会社が企業型確定拠出年金のみ加入 | 20,000円 |
会社が企業型確定拠出年金以外の企業年金に加入 or 公務員・私立学校教職員 | 12,000円 |
一番割合が高いのは、「会社が企業年金に未加入」の場合だと思うので、月23000円の掛金に設定した場合で試算します。
◯所得控除額 23,000円×12ヶ月=276,000円
→住民税減額分 276,000円×10%=27,650円
うち、市町村民税所得割減額分 276,000円×6%=16,560円
市町村民税の所得割の税額を、かなり減少させることができるのが分かります。
「じぶんの積立」の活用
次に、活用するのは、明治安田生命の生命保険「じぶんの積立」です。
この保険、何がスゴいかと言うと、生命保険なのに、生命保険としての機能を持っていないんです笑
ざっくり言うと、1口月5,000円(年60,000円)を5年払い込むと(払込累計300,000円)、ほんのちょっぴり色を付けた金額の309,000円になって返ってくるという保険です。
そして、積み立てている途中で死亡等の事故があると、積み立てている範囲で保険金が支払われます。
…これじゃ、「貯金をしているのとほとんど変わらないじゃん!」って思われるかもしれませんが、この商品は「生命保険」なので、「生命保険料控除」を使えるというメリットがあるんです!
◯生命保険料控除(住民税の生命保険料控除額)
年間の支払保険料等 | 控除額 |
---|---|
12,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
12,000円超 ~ 32,000円以下 | 支払保険料等 × 1/2 + 6,000円 |
32,000円超 ~ 56,000円以下 | 支払保険料等 × 1/4 + 14,000円 |
56,000円超 | 一律 28,000円 |
◯生命保険料控除(所得税の生命保険料控除)
※保育料には影響しませんが、「じぶんの積立」のメリットを伝えるため念のため紹介
年間の支払保険料等 | 控除額 |
---|---|
20,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
20,000円超 ~ 40,000円以下 | 支払保険料等 × 1/2 + 10,000円 |
40,000円超 ~ 80,000円以下 | 支払保険料等 × 1/4 + 20,000円 |
80,000円超 | 一律 40,000円 |
「じぶんの積立」に1口加入した場合は、月額5,000円なので、年間の支払保険料は60,000円になります。その場合の住民税、所得税の所得控除額については次のとおりです。
◯住民税 28,000円
◯所得税 35,000円(60,000円×1/4+20,000円)
そして、所得控除がされた場合の、所得税・住民税の減額の関係は次のとおりです。
所得控除額 | 税額の減額分(所得控除額×10%) | |
住民税(10%) | 28,000円 | 2,800円 |
所得税(10%) | 35,000円 | 3,500円 |
(住民税(市町村民税+都道府県民税)の所得割は一律10%です。所得税については、一番人数が多いであろう所得の所得税である10%で試算しています)
2,800円+3,500円=6,300円の節税になりました。
年60,000万円の払い込みに対して、6,300円の節税は、けっこう割がいいと思われるのではないでしょうか。
さて、長い前置きになりましたが、 ここで重要なのは、住民税の所得控除28,000円を得られたこと。
これにより削減できた「市町村民税の所得割の税額」1,680円(28,000円×6%)が重要です。
ideco+「じぶんの積立」で具体的にどれくらい変わるのか。
先ほど確認したとおり、idecoでは 16,560円、「じぶんの積立」では1,680円だけ住民税の所得割の金額が減額されますので、その合計は、18,240円です。
上記の保育料の表を思い浮かべてください。
もともとの住民税所得割が約31万円だった人は、ideco+じぶんの積立で約29万に修正されます。
そうすると、階層認定はC11(301,000円未満)からC10(221,000円未満)に下がり、その金額の違いは、5,500円です。
そうすると、5,500円×12ヶ月=年66,000円 節約になります。
かならずしも、ideco+「じぶんの積立」で保育料が下がるとは限りませんが、階層の境目にいる人は多いと思うので、保育料が下がる可能性は十分にあるんじゃないでしょうか。
そして下がった際の効果は絶大で、その利回りの破壊力たるや、素晴らしいの一言に尽きます。
今回のシミュレーションは、夫婦のうち1人がideco+「じぶんの積立」に加入した想定ですので、当然夫婦でやれば、その効果は2倍になります。(ただし、育児休業給付金は非課税で、所得としてカウントされないことに注意です。)
また、保育料は、前年度、前々年度に賦課された市町村民税の所得割の金額に応じて決定されます。つまり、保育料を払う年よりも前の年度で、所得控除により課税所得のコントロールを行っておく必要があります。保育園のご利用は計画的にね!
idecoと「じぶんの積立」は、保育料関係なくお得な制度なので検討する価値でありです。

保育料って課税所得によって違うとは聞いていたけど、こんなに違うんだね!表ギリギリの人って本当に惜しいって思うよね。
「もう少しで年6万円浮いたのになぁ…」という残念な気持ちを
「もう少しだったから年6万円浮かすことができた♪」というポジティブな気持ちに変えて行こうね♪
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